金繍の火打・妙高山を歩く
|
02年9月21−22日 団塊オジサン 中秋の名月を新潟・火打山で愛でよう・・・。そんなロマンチックな思いはさらさらなかったが、「9月の山行は火打山(2462M)妙高山(2454M)縦走で締めよう」とかねがね決めていた。妙高高原は若かりしころ、温泉、スキー、避暑にと足繁く通ったリゾート地で、JR妙高高原駅は国鉄時代は「田口」という駅名だった記憶がある。今回も往路は夜行バス。といっても、この方面は夜行バスはもちろん直行便もない。だが、池袋発の上越市(直江津)行きに乗り上越高田でJRに乗り換えれば意外と早く登山口に到着できる。 JR妙高高原駅始発のバスは20人程度で、ほとんどが火打山を目指しているようだ。秋本番を迎える高原リゾート。高度を増すにつれ、「錦繍の世界」に期待が高まる。今日は山小屋の高谷池(こうやいけ)ヒュッテまで休まずに歩き抜いてやろうと思った。幸い空気は澄み日差しは柔らかで、夜行バスの割には体調もよい。ところどころ木道を交えながら樹林帯を歩く。全山紅葉は1−2週間先だろうがナナカマドの実は赤みを増し、広葉樹も色づき始めている。黒沢から富士見平へは「十二曲がり」と呼ばれるつづら折れの急坂をこなし、途中の北アルプス展望台では白馬・五竜も遠望、10時50分に三角屋根の高谷池ヒュッテに到着した。快調に飛ばせた結果、エアリアのコースタイムより30分短縮できた。 草紅葉に染まる天狗の庭 ヒュッテは火打山を背景にした高谷池のほとりにありロケーションは抜群。宿泊受け付けを済ませ、小屋のテラスで高谷池の湖面に映える黄葉・紅葉をめでながら、ゆっくりと昼食をとった。十分な休憩のあと火打山頂を目指す。10分ほどで高層湿原の天狗の庭、草紅葉は既に始まっている。さらに雷鳥沢、雷鳥平を経由し1時間あまりで山頂についたが、ガスが出始め展望は今ひとつ。寒さも増してきたので早めに下山、15時前に再びヒュッテに戻った。高谷池ヒュッテは完全予約制で布団1人1枚以上の詰め込みはやらないことと、食器・炊事施設を充実させ、宿泊者に自炊を勧めているのが売り物。実際、小屋提供の食事はレトルトのカレー、牛丼が定番メニューで2食分2000円は割高。事前に情報を得ていたので、素泊まりとし自炊した。 「気をつけよう 暗い夜道と・・」 ここまで順調な山行だったのに思わぬ落とし穴が・・・。期待した中秋の名月も雲に隠れて見えなかった。暗闇のなか、就寝前のトイレから小屋に戻る際、木道を踏み外し不覚にも転倒、懐中電灯を破損した。ヘッドランプも持参していたので不自由はしないが、「気をつけよう 暗い夜道と 一人歩き」の標語は若い女性だけでなく中高年・単独行の登山者への警告でもあるようだと、オジサンの肝に銘じた。 南峰で雷鳥にご対面 翌朝は6時35分出発。国内でも屈指のプロスキーヤー、植木毅氏が経営する黒谷池ヒュッテを経由。ここも高層湿原を眼前にした抜群のロケーションで、町営の高谷池ヒュッテと民営の黒谷池ヒュッテが、この地で競う。ちなみに黒谷池は夕べはかなりの宿泊客だったという。外輪山の大倉乗越を過ぎ、長助池の分岐を経て妙高山頂到着が9時50分。明け方に低く垂れ込めていた雲が、気温の上昇とともに晴れ渡り、すぐ近くの戸隠・高妻山や、2週間前、雨の中を大雪渓を登った白馬岳、鹿島槍、槍ヶ岳、剣岳、雨飾山・・・と澄んだ空気の中にくっきりとみえる。山頂で憩う人々の表情も、ことのほか明るく見える。妙高山は双耳峰で南北のピークを持ち、南峰では雷鳥にも遭遇した。両ピークでのんびりと展望を楽しみ燕温泉へ下山する。山頂からわずか下ったところの10メートル程度の垂直の鎖場は足場は着実に切ってあり、混雑時と雨以外は慎重に下れば問題はなさそう。 硫黄のにおいがする登山道を下り、天狗堂、湯道分岐、赤倉温泉源泉場を経て燕温泉に着いたのが13時50分。燕温泉名物の露天風呂「黄金の湯」(寸志)で汗を流した。形ばかりの男女別浴だが、道路からの見通しも良く、女性が入浴するには勇気がいりそう。硫黄系の強い温泉で水道などの設備もなく、文字通り素朴な露天風呂を楽しむのならよいが、洗髪など身奇麗にしたければ、もう少し下にある旅館の立ち寄り湯を利用したほうがいいようだ。 妙高高原駅行きバスは2時間30分待ちだったが、幸い同年代とおぼしき単独行の女性とバス停で一緒になったのでタクシー相乗りを頼めた。彼女は埼玉・八潮市の方で、今回の火打・妙高山縦走で「深田百名山」を完登し10年の歳月を要したという。「継続は力なり」と素直にお祝いの言葉をかけさせていただいた。帰路は長野市に出て西武バスで2席を1人で占拠し、ゆったりと帰宅できた。 コースタイム <21日>笹ヶ峰登山口(08:15)−高谷池ヒュッテ(10:50)−ヒュッテ出発(12:05)−火打山頂(13:15)−山頂出発(13:50)−高谷池ヒュッテ(14:55) |