ナキウサギ鳴く紅葉の富良野岳に遊ぶ

furano0401.JPG噴煙を上げる十勝岳、左後方は大雪山・旭岳
=9月26日午前
 

     04年9月24−26日
           団塊オジサン

日本列島の紅葉と初雪は大雪山から始まる――。7月に道東三山を登頂した際の現地ネイチャーガイドの台詞が妙に記憶に残り、お彼岸の連休に道東三山と同じガイドが案内する大雪山系三山(旭岳、十勝岳、富良野岳)のツアーに単独参加した。

始発の札幌便で羽田をたち旭川市を経由し表大雪の旭岳温泉登山口到着が12時30分。ゴンドラに乗り逆さ大雪で有名な姿見池を経て、歩行2時間半で旭岳山頂(2290M)に立つ。高曇りで同じ大雪山系の黒岳、トムラウシ岳、北鎮岳なども見渡せ展望はまずまず。山頂の気温は3度で霰が降り出し、さすがに北海道最高峰、初雪は9月10日に降ったらしい。つい2月前の斜里岳登頂の折には気温35度を経験しているだけに移ろいゆく季節の早さを感じる。

さて期待の紅葉はというと、今年は台風が多くカエデやナナカマドの葉が飛ばされてしまい、景観は例年の10分の1とは現地ガイド氏の弁。自然の営みはままならずとはいえいささか落胆。周囲の山並みを見渡して日本一広大な国立公園、大雪山は「往復登山より縦走したい山」という印象を強く持ったが再訪はリタイア後かと思う。

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十勝岳温泉から望む富良野岳の山稜=9月26日早朝

大雪山ろく・白金温泉のホテルに宿泊し2日目は十勝岳(2077M)登頂。あいにく早朝から雨で終始雨具を着用、無風なのがせめてもの救い。安政、昭和火口などがある活火山で火山帯特有の赤茶けた岩屑の登山道を登る。山頂はもちろん展望ゼロで足早に下山し、入山口の望岳台で青空が顔を出し始め翌日の晴天を約束してくれた。

この2カ月ほどの間に雌阿寒岳、一切経山など活火山4座を登頂したが、赤茶けた山肌に噴煙たなびく荒涼とした景観の火山帯登山もいささか食傷気味だが、山ろくで温泉に入れるのも火山のお陰とあって致し方ないところか。ちなみに深田百名山に活火山を数えると20近くになり、火山列島・日本を象徴している。

3日目の富良野岳(1912M)は十勝岳に隣接するが石狩山系に属し火山ではなく樹林の植生も濃い。田中澄江の「花の百名山」に名を連ね、花の種類は大雪山より豊富とのことだが季節は晩秋、代わりに「紅葉まつり」が開かれていた。山ろくの展望台には多数のアマチュア写真家がカメラの放列を連ね、標高1300Mの富良野岳登山口にある十勝岳温泉「凌雲閣」は道内でも人気の温泉らしく立ち寄り湯客で午後5時ころまでは大混雑。テレビドラマ「北の国から」の田中邦衛もよく利用するという。泉質の違う2カ所の源泉からお湯を引き、露天風呂の眼前には富良野岳や上ホロメカットク山がドンとそびえる、なかなかのロケーション。夕食時には十勝岳で百名山完登の女性のお祝いもあってコップ酒も進む。

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富良野岳山ろくの紅葉(標高1300M)=9月25日午後 

朝風呂・朝酒(ビール)のあと午前8時に快晴に恵まれ十勝岳温泉登山口を出発。三段山分岐を左に分け安政火口分岐までは散策路で観光客も多い。富良野川を徒渉し、上ホロメカットク山分岐を経て十勝岳からの縦走路につながる稜線へ。山頂に近づくにつれ十勝岳が姿を現し遠くには旭岳も望める。ダケカンバやシラカバの紅葉も進み、本州より一足先に紅葉狩りの風情。

歩行3時間で展望360度の山頂で昼食。遠くは夕張岳、芦別岳の山並みや麓には原始が原の広大な湿原と草紅葉がまばゆく見える。気温は6度、日が翳るとぐんと冷え込む。北海道では9月の疲労凍死事故が結構多いというのはガイド氏の弁。それもほとんどが現地事情に疎い本州からの登山客という。下山路は同一コースをたどり、途中、氷河期の生き残りといわれ学術的にも貴重なナキウサギの鳴き声を何度も聞いた。ちなみに普通の兎は鳴かないのかとガイドに尋ねると、「肉を食べるため殺す時にギャーと一声鳴く」という。天候のせいもあろうが今回登った3山のうち。富良野岳が一番よかった気がするし、道外より地元の登山者が多そうなのも大雪山とは違う点だ。凌雲閣で再び温泉に入り、帰路の旭川空港では名物の旭川ラーメンは食さず、ひたすら「北の誉」を呑み酩酊状態でフライトというお決まりのパターンだった。

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