初春の陽光に霧氷きらめく
          久住山・坊がつる

 

             03年1月1日夜−3日  団塊オジサン 

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九州最高峰の中岳(正面後方)直下にある御池、完全凍結し湖上歩行も可能に=2日午前
 

 正月休みを利用して、愛媛・石鎚山(1974M)、九州中部の祖母山(1757M)、久住山(1787M)、阿蘇山(1592M)の4座登頂を計画した。2000M未満の山とはいえ事前取材では、いずれの山頂も雪が張り付いており、玄界灘から寒風でも吹き込めば時節柄、油断は禁物の心構えで臨んだ。出発は29日夜の長距離バス。雪化粧の石鎚山を30日にピストンでこなし、その日の今治港発の夜行フェリー・JRで大分・竹田市に入り祖母山9合目の山小屋(有人)で1泊した。前半のハード・スケジュールが災いし、最終予定の阿蘇山は疲労と天候不順で登頂を断念、3日夕に帰京した。全日程を書くと長くなるのでメインの久住山に的を絞り綴ってみた。山行記というより温泉紀行に近いが、ご用とお急ぎでない方はお時間まで.――。

<元旦>山旅の疲れを阿蘇・黒川温泉で癒す

 03年の初日の出を大分・祖母山頂で迎え、下山後ただちに熊本入りし阿蘇カルデラ内の一画にある瀬の本高原ユースホステル(YH)に宿をとった。もっと登山口近くに宿舎を確保したかったが、正月とあって民宿は休業、ホテル・旅館は1人客お断りで、人生に疲れたオジサンが「青少年のための健全な宿泊施設」(YHの設立趣旨)に、やむを得ず投宿した。YH利用は高校時代以来で30数年ぶり。当時は飲酒禁止、ペアレントを中心とした交流会が定番だった気がするが、今は酒の自販機があり交流会もない。利用客も家族連れ、若い外国人カップル、OLグループ、ライダーとさまざま。旅先でよく見かける元気なオバサン・グループはさすがにYHまでは進出していないようだ。

 このYHの売り物の一つが、車で15分ほどの小国町・黒川温泉への無料送迎。黒川温泉は女性がもっとも行きたい温泉NO1で、某新聞社主催の「02年の温泉大賞」にも選ばれている。夕食後に訪れたが、28軒の旅館が協力し入湯手形(1200円、半年有効)を発行。自由に立ち寄り湯を満喫できる。阿蘇・外輪山の奥深い山里に瀬音が響き、和風情緒あふれる「大人のOFF」の雰囲気で、一人旅の疲れを癒した。一度ゆっくりと訪れ浴衣姿で下駄をカラコロ鳴らしながら名湯巡りをしてみたいものだ(できれば「真野あずさ」風の女性と)。また、登山客向けには入山口の一つである牧の戸峠まで送迎もしてくれ、宿泊料金も格安とあって久住登山の前泊地としてはお勧め。

<2日>霧氷に励まされ久住山頂へ

 牧の戸峠出発が午前9時過ぎ、西風が強く気温は零下6度。入山者も結構多く、九州随一の人気の山だということをうかがわせる。登山路は年末からの雪が踏み固められ出だしから凍結。大半の人はアイゼンを装着していたが、急峻な箇所はそれほどないとの判断からツボ足で行く。ものの30分も歩けば沓掛山。陽が高くなり風も収まったので汗が出始める。旬の季節ならミヤマキリシマのピンクに染められた光景が見られるのだろうが、今日は朝日に輝いた霧氷が殊のほか美しい。火山活動中で入山禁止の星生山(ほっしょうさん)を左に仰ぎ、久住分かれを過ぎるころから硫黄山から水蒸気が勢いよく噴出しているのが指呼の距離に見え、さすがに火の国を彷彿させる。右手には三角錐状の久住山が見え、残雪上には登山道がくっきり。岩場の山頂は日差しで雪も消え、根子岳など阿蘇5岳(ごがく)が中岳の噴煙とともに雄々しく望める。今日はのんびり登山の予定なので、ゆっくりと食事休憩をとり初春の陽光を体いっぱいに浴びた。昼食後、九州本土最高峰の中岳にアタックしたが、天狗が城頂上からいったん下る箇所が岩稜帯なうえ、雪でペンキマークが隠れており、あっさりと諦め、北千里浜経由で、坊がつる・法華院温泉山荘へ向かった。

 標高1303Mのいで湯「法華院温泉山荘」

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紺碧の空に硫黄山から勢いよく噴出す噴気(水蒸気)=2日午前、久住山頂より撮影

 経由地の北千里浜は文字通り山中の砂浜のような地形で、雪で覆われガスが出ればホワイトアウトに陥りそうなところだ。実際、道迷いも珍しくなく、この日も母娘の2人連れが山中で迷い救助隊のご厄介になったという。途中、アイゼン装着か迷う箇所もあったが、3時前に法華院温泉山荘に到着した。九州最高所の単純硫黄泉の湯で、どの登山口からも2時間の歩行を強いられる。経営手法が北アルプス・白馬山荘に似た感じで6畳の個室が確保できた。山荘内の食堂には「坊がつる讃歌」が流れ、暖炉のあるソファでしばし居眠り。泊まり客は総勢50人程度で、正月2日なのでおせち料理に鏡割りの酒が供され、朝食には雑煮が出た。やはり冬の山旅は暖かい宿と温泉に限る、と軟弱登山ぶりに一人納得。夕暮れ前に坊がつるを逍遥したが、狐色の山上湿原と雪原が夕日に映え、ミヤマキリシマの季節とは違った趣が味わえた。

<3日>新雪を踏みしめ長者原へ下山

 下山路は雨が池越を経由し長者原へのコースをとる。自然観察路になっており傾斜は緩やかだが、念のためにアイゼンを装着、雨具も羽織る。未明からの積雪で前日までの踏み跡は完全に消え、最初の足跡を残す。指導票は整備されており迷う心配はないが、湿地帯コースなので雪に隠れた水溜りで靴を濡らさぬよう気をつかう。この雪空模様でも法華院方面に向かう登山客に数組出会った。雪見風呂でも楽しもうというのだろうか。長者原到着が10時すぎで熊本行きバス発車10分前。天候も悪く疲れもたまってきたので、午後からの阿蘇登山はあっさりと断念し、熊本空港へと直行した。途中、やまなみハイウエイではチェーンなしの車が立ち往生している光景がどこそこで見られた。

 1時間15分の空の旅、降り立った羽田空港は小雪が舞っていた。防寒用下着などを着替えてしまっていたので山頂以上の寒さを感じる。東京は今年もオジサンを温かくは迎えてくれそうにないようだ。 

<コースタイム(休憩含む)>

<2日=快晴>牧の戸登山口09:10−沓掛山09:40−久住分かれ10:55−久住山頂11:50(昼食)−山頂1:25−天狗が城12:50(中岳は敗退)−久住分かれ13:25−北千里浜14:00−法華院温泉山荘14:50−坊がつる逍遥

<3日=未明より降雪>法華院温泉山荘08:10−雨が池越え08:50−長者原(くじゅう登山口)10:10−熊本空港13:00

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