雪の蔵王山・磐梯山

     安直な計画であえなく敗退

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蔵王・地蔵岳直下に祭られているお地蔵様

        04年3月20日

        団塊オジサン

 今年中に東北の深田百名山の残り5座を片付けてしまおうと、蔵王・熊野岳(1841M)を2月に、会津磐梯山(1819M)を3月に計画したが両座ともあえなく敗退した。野球の一流打者は「快打を忘れ、凡打は忘れない」という、つまり「なぜ凡打となったかを反省し次に生かす」という姿勢である。「粗忽者の山歩きシリーズ」も成功体験だけでなく敗退記も記しておこう。敗退の理由はいずれも明々白々、不純な動機に基づく安直な計画、技量・経験不足、装備の不備などで、雪山のセオリーにのっとったものは「早期に撤退」の決断だけだった。積雪期の百名山は、これまでに11座を登頂しているが単独では四国・石鎚山、九州の祖母山・久住山と西日本地域で、東北の山の経験はない。蔵王、磐梯はスキーリフト・ゴンドラを利用すれば高度がかなりかせげ雪崩の危険も少なく、天候さえ恵まれればさほど困難ではない、と判断した。もちろんネット上の様々な積雪期の山行記をみたうえでの判断である。

<2月29日=蔵王山、曇り・微風>

 蔵王山登頂の主目的は樹氷見学。バスツアーを利用して山頂での2時間半の自由時間にピークの熊野岳を往復し、天候不順なら山頂レストランで樹氷見学して下山しようという計画。前日は宮城蔵王側の遠刈田温泉のホテルに1泊し温泉と地酒を楽しむ。翌朝はバスで山形蔵王側のスキー場に10時到着。同乗者は当然、樹氷見学が目的の防寒着を着た観光客で、登山装備はオジサン1人。直ちにゴンドラリフトを乗り継ぎ標高1695Mの山頂駅へ。7合目あたりから樹氷モンスターが現れるが、ここ1週間ばかりの春めいた陽気で崩れ始めており、今ひとつ感動はない。頂上駅に着くと生憎のガスで視界は5−10M。とりあえず名物のお地蔵様に安全祈願して、まず地蔵岳をめざすが通行禁止のロープ。「なぜだ」、1週間前には通行可だったはずなのに。それでもロープを越えて数十M進むがガスが濃くなる一方で、行動時間も限られていることから早々に登頂断念を決める。結局アイゼンも装着しなかった。あとはリュックを背負った単なる観光客で、今シーズンから新設なった暖かい展望レストランのガラス窓を通してお茶しながら樹氷見学を決め込む。昼過ぎには山ろくに下り、遠くに雪を抱いた朝日連峰、月山の山並みを見ながら上山市のドライブインで昼食をとり帰京となった。とりあえず主目的の樹氷見学と遠刈田温泉は満喫できたので、このツアーもよしとしよう。だが、次回また熊野岳に再挑戦という気は起こりそうにない。

<3月20日=会津磐梯山、薄曇・無風>

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猪苗代スキー場から望む会津磐梯山

 この山行計画は表磐梯の猪苗代スキー場のリフトを利用して1200M地点まで行き、そこから前山の赤埴(あかはに)山を越えて、沼の平・弘法清水経由で山頂を極めようというもの(冬季は東尾根直登も可能だが、そんな技術はない)。往路行程は2時間としても急登は山頂直下の30分だけなので大丈夫とみた。ただ、ネット検索すると冬季登頂は例が少なくヒットしたのは数件だった。今回も気象条件が悪ければ登頂を断念し、猪苗代スキー場で滑り、後は温泉に入って帰ろうという安直な計画。心残りは事前に前爪つきアイゼンを買いに行く時間がとれず、6本爪しか準備できなかったことだ。

 旅程は「夜行日帰りスキーバス・パック」を利用。このパックはバス料金、スキー(スノボー)レンタル、リフト1日券、温泉入浴料込みで7800円也という信じられない安さ。しかも、往路のバスは連休前なのに乗客が20人ほどでゆったり座れ、いかにスキー人口が減少したかを物語っている。オジサンが20歳代のころは冬はスキーに狂奔したものだが・・・。夜行バスでのいつもの儀式、呑み屋でコップ酒3杯をあおり乗車。乗客はさすがに若いカップルやギャル・グループばかりで、人生にくたびれ赤ら顔をしてピッケルを持ったオジサンなんかは私1人でかなり浮いた存在。バスは安達太良や裏磐梯の各スキー場を経由して猪苗代到着が7時30分。朝食を済ませ8時30分始動のリフト3本を乗り継ぐ。

ゲレンデ最上部から登山コースに入るのだが、もちろん指導標は雪の下。しかしゲレンデ脇の雪壁に1人分ほどの踏み跡があり。その急登を20Mばかり上ると赤布がついたコースに出た。どうやら赤埴山を巻いて沼の平と合流するコース(夏道)らしく、そこを進む。露出した岩場にはペンキマークもある。ただ、赤布はきわめて少なく、帰路ガスが出た際の道迷いの用心にと、地図で現在地を頻繁に確認し方向転換地点では地形も記憶にとどめるようにする。猪苗代湖、会津盆地、日光・尾瀬の山々が見渡せる。動物の足跡もどこそこに見られた。磐梯山頂が近くに見える地点で一服。山頂をカメラに収めるがフィルム切れで予備もなし。再び歩き出すが結構な急斜面のトラバース。山スキーのシュプールが1本あるのみで、滑落の不安が募る。慎重にピッケルで確保しながら進むので時間がかかる。20分ほど急斜面をトラバースした。滑落しても死にはしないだろうが、6本爪アイゼンなので上がってこれない不安の方が増幅する。お湯を飲み地図を見ながら進退を考える。ここは東北の雪山。奥多摩や秩父とは違う。6本爪ではこれからも不安、オジサンの技量では無理かも、と早々に敗退を決意した。来た道を自分がつけた踏み跡を戻るのは至って気楽。滑落の不安を抱いた急斜面のトラバースもどうということはない。ゲレンデに通じる急斜面を下りたところでは、スキーヤーから「単独登頂ですか、すごいですね」と声を掛けられたが、「えぇ、まぁ」と言葉を濁す。

リフトで山ろくに降りたのが11時過ぎ。時間もあるのでレンタルでスキーにトライ。スキーは多分25年ぶりくらい。ビビるといけないのでヒュッテでワンカップを1杯。勢いをつけてまずは初心者コースを3本滑る。美しくはないが意外とスムースに滑れる。次に斜度27度の中級者ゲレンデへ移動。昔風に言えばシュテム・クリスチャニアで滑降するがなんとか転ばずに滑降できた。ただフォームがすぐに崩れ長続きはしない。2時間程度遊んで、後は温泉に入りロッジで会津の地酒を飲み4時30分のバスで熟睡して帰京した。

雪の磐梯山は途中敗退したが理由は技量不足と装備の不備で、克服は可能だ。スキーも十分楽しむことができ、失敗体験ながら良い思い出となった。同一行程で来シーズンも再挑戦しよう(その前に夏道の経験が必要)と、翌日に前爪つきアイゼンを買いに高田馬場へ出かけた。

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