梅雨前線の守りは堅かった!
それでも執念で登った大・小朝日岳
2004年7月16夜〜19日
メンバー・ヒロナガCL+7人
大雨の中、みんな本当にがんばった。当初計画の朝日連峰縦走こそ成らなかったものの、弱音を吐くこともなく連峰の主峰である大朝日と小朝日の両山に登りきった。メンバー全員に敬意を表したい。 【16日(金)晴れ】午後11時40分、池袋駅西口の芸術劇場前バスターミナルを定刻から30分遅れで出発した。バスは横3列シートで、旅客機を思わせる快適さである。 【17日(土)大雨】鶴岡に近づくにつれ雨は強くなり、下車した第一ホテル前バス停では、ついに土砂降りになった。カッパを着込み、大鳥登山口行バスが出る鶴岡駅前に移動する。 大鳥登山口で泡滝ダム行バスに乗り換える、はずだったが、ここで最初のアクシデントが見舞った。橋が冠水し通行止めになったのである。バス停前の宿の人たちとも相談、ここで一泊して翌日登る、徒歩でこのまま強行、中止してどこかの温泉につかる、などなど検討したが、天候は好転の兆しがない中では、強行するにはリスクが高すぎること、「ここまできて中止はないだろう」という参加者の気合いにも押され、下した判断は「縦走はあきらめ、朝日岳を含めた可能なコースを登る」だった。そのため、当初縦走終点とした朝日鉱泉に向かうことにし、折り返し鶴岡駅に向かうバスに急いで乗り込んだ。
車中、話が弾んだ地元のおばちゃんが、鶴岡から山形駅まで高速バスが走っていることを教えてくれ(自分で運転手にまで確認してくれた)、朝到着したバスターミナルで下車した。運よく、50分ほどの待ちで出発できた。JRの一部ローカル線が不通になったこともあって、満席で乗れない人も出たほどの込みようだった。 左沢(あてらざわ)駅で、携帯電話で予約しておいたジャンボタクシーに乗り込み、朝日鉱泉に向かう。狭くて曲がりくねった山峡の道を進み、もうすぐ朝日鉱泉かという所で、第二のアクシデントが待っていた。冠水した道路の修理をしている作業員の一人(若い女性)が我々を止め、この先は土砂崩れで通れず危険なので引き返すよう促した。が、「ここまできてUターンなんてせっしょうや」という我々の思いが通じたのか、行けるところまで行ってもいいという許可を、当会の若かりし頃の前会長似の責任者(と思われる)から得た。
黄色いブルドーザーを追い越し、未舗装の道路をしばらく行くと、倒木混じりの土砂が完全に道路をふさいでいた。降りて現場まで行ったが泥でかなり埋まり、とても車が通れる状況にはない。後からブルドーザーが追いつき、運転手のにいちゃんが現場を確認。戻ってきた兄ちゃんは、無情にも「すぐに通れる状況じゃないよ」と山形弁で告げた。この先も崩れる可能性があり、涙をのんでUターンすることにした。タクシードライバーと相談し、もう一つの登山口、古寺鉱泉に向かった。こちらは、道幅も広い舗装道路で大丈夫だという。 「さあ、やっと着く」と思ったそのとき、第三のアクシデントである。道路の3分の1が川に削られている。「うへー」である。タクシーを降り徒歩で向かった。宿の若旦那に頼み込み、素泊まりをお願いした。こんな荒天にもかかわらず、小屋はけっこうな賑わいである。
【18日(日)、雨】 雨は小降りとなり、空は明るさを取り戻しつつあるようだ。天気予報を聞くと、梅雨前線は南下し、北陸地方で暴れているらしいが、弱まりつつあるとのこと。小屋前の川の水量は減少傾向にあり、濁りも和らいできたようだ。「よし、これなら行ける」と判断。メンバーに告げるが、行くのが当然という構えである。前日の豚汁の残りで作ったおじやの朝食を済ませ、いざ出発! 全体順調ではあったが、ただ一カ所、昭文社の地図に小朝日岳からの下りが急坂で危険とあったので、手前で巻くかどうかを迷った。時間もたっぷりあったことから、「とりあえず行ってみよう」ということで、くだってみたが、確かに傾斜はきつかったものの「危険」を感じるほどではなかった。当会最高齢のマキノンお父さんも、問題なく通過できた。「一服清水」「三沢清水」「銀玉水」と水場は豊富で、「銀玉水」は、宿泊用に全員で10リットルほど担ぎ上げた。ただ、「金玉水」(くれぐれも読み方を間違ってはいけないそうです)は悪天のため、汲みに行くことができず、飲めなかったのが心残りである。 尾根にでる頃になると、雨足が強くなり風も出てきたため、カッパを着込む。もちろん眺望はなし。そのため、大朝日岳小屋に気が付いたのは、わずか数bに近づいてからだった。この小屋は、鉄筋二階建て、豪雪にも耐えうる頑丈なつくりである。中に入ると、きれいなフローリングである。避難小屋ではあるが、シーズン中は管理人が常駐し、管理費1500円が必要。宿泊は2階で、一部ロフトになっている。先着は一組だけで、がらんとしているが、管理人からロフト下の一角を割り当てられる。ザックなどを入れる二段式の棚には、濡れものも置けるようにトタン制のボード(40a×1bぐらい)が置かれているが、これを流用してコンロによる煮炊きが部屋内でもできるようになっている。安全で床を汚さずにすむので、とても重宝した。早く着いたため、セーブしながら飲んだにもかかわらず、持参したアルコール類は寝る前には底をついてしまった。 【19日(月)雨】 夜半、「ゴー」というすさまじい風の音で目が覚める。外に出てみると、音の大きさほどでもない。雨の方も、ガスってはいるものの、霧雨程度。空身で頂上を目指すことにした。乳白色のもやの中を15分ほど歩くと、ケルンを積んだなだらかな頂上に着いた。天候さえよければ、東北らしいたおやかな山容を我々に披露してくれただろうに。最後に残る楽しみは、温泉のみ。下りは、そのことだけを考え、一気にくだった。途中、古寺山で携帯電話がつながったので、タクシー会社にジャンボタクシーを予約し、下山後、すぐに町営の左沢温泉に向かった。
(追記)残念だったのは、タクシードライバーにお願いして、日帰り入浴と宿泊もできると聞いて下ろしてもらった施設が日帰りのみだったこと。5人は宿泊希望だったので、がっくり。ところが、拾う神ありで、玉こんにゃくの出店を出している社長さんが見かねて、宿泊もできる柳沢温泉に問い合わせてくれ、マイカーでそこまで送ってくれたのだ。感謝感激です。バスの中でのおばちゃんといい、山形県人の人情にふれることができたことは、今回山行の大きな収穫の一つだったと思う。そして、最初から厳しい縦走を覚悟しての硬派登山隊隊員の気合いは、まさに「山男」「山女」のそれだった。眺望や花を楽しむという山行にはほど遠く、半端じゃない大雨にはリーダーとしての緊張も強いられたが、それでも次につながる熱い何かをもらった気がする。みなさん本当にご苦労さまでした (ヒロナガ記) <コースタイム> 7月16日(金) 7月17日(土) 7月18日(日) 7月19日(月祝)
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