スノーシューで行く白銀の雄国沼・西吾妻山

                       06年3月25−26日

                       団塊オジサン

樹氷をバックに西吾妻山山頂で=26日午前

 西吾妻山(2035m)は福島県と山形県にまたがる吾妻連峰の最高峰で、厳冬期は蔵王や八甲田と並んで樹氷が有名。また2000m級の山塊が連なりピークが顕著でないことから、ガスった際には迷いやすい山域とされている。西吾妻山が裏磐梯のスキー場からならスノーシューで登れることをネットで知り、1泊2日のスノーシュー体験教室に参加した。ただ東北の2000m級の雪山とあって念のためピッケル、10Pアイゼンも持参した。前週も猪苗代側から会津磐梯山(1819m)登頂を試みたが、膝までの深雪で夏道なら40分のコースを2時間かけて1人ラッセル、赤埴山を越え沼の平の湿原でスタミナ切れとなりあえなく敗退した。雪山の単独行は強靭な意志力と体力が必要なことを改めて思い知らされていた。

スノーシューで行く裏磐梯の雪原=25日午後

 初日の25日は快晴で、まずはスノーシューの足慣らし。裏磐梯・雄子沢登山口から雄国沼に至る標高差200mのコースを行く。現地ガイド2人が同行し噴火で数多くの湖沼ができた裏磐梯の歴史や植生を教わりながらのスノーシュー・トレッキング。スノーシューの長所は初心者でもすぐに慣れて雪上歩行を楽しめ、下山時の歩行速度が速いこと。短所は急斜面のトラバースや凍結コースに弱い点だ。裏磐梯特有の起伏に富んだコースはあちこちにカモシカやウサギの足跡が見られる。雪を被ったブナやダケカンバの林相もよい。猫魔岳の東麓にある雄国沼は湖面が完全凍結した広い雪原で、ワカサギ釣りなど人の気配はなく静かなモノトーンの世界。湖畔には立派なログハウスがあり、冬季でも寝具と食料を持参すれば無料宿泊も可能という。若い男性ガイドは裏磐梯は四季を通して楽しめる最高級の高原リゾートと誇りにしていた。

 スノーシュー習熟が目的の3時間の歩行を終え宿舎のホテル白雲荘へ。スキー、ボーダーの若者や家族連れでほぼ満室、食事も水準以上だった。夕食時のアルコールが進むにつれ饒舌になり、同じツアーの隣席の女性からは「顔も雰囲気も小沢昭一によく似ている」と評される。時たま言われた経験があるが、小沢昭一は昭和一ケタ世代、私は戦後生まれの団塊世代、「似ているといわれても、喜ぶべきか悲しむべきことなのか?」。雪の磐梯山を借景にバラを浮かべた大浴槽もあり1日の疲れを癒す。最近は日帰りより山小屋、山小屋よりは山ろくの温泉旅館と、赤貧登山から遠ざかりつつある。せめて寝泊まりするところはゆったりと、という年齢のせいなのか。

完全凍結し銀世界となった裏磐梯・雄国沼=25日午後

 26日はホテルからバスで東急系のグランデコ・スキー場へ。同スキー場は駐車場からゲレンデへ行くのにエスカレーター利用とは驚いた。ゴンドラとリフトで一気に標高差600mを稼ぎ1630mの山頂駅からスノーシューを付けて登頂開始。薄日で無風の快適な雪上歩行で前週の1人ラッセルとは大違い。安達太良山や磐梯山、裏磐梯の湖沼が美しい。ガイドを先頭に雪の斜面を縦横自在に歩き山頂を目指す。西大顛(にしだいてん)山頂は360度の展望、遠景には飯豊連峰の銀嶺も浮かぶ。西吾妻避難小屋を経由して30分ばかりで西吾妻山頂。夏場は樹林に囲まれ展望がない不遇の山頂といわれるが、今は山頂標識も埋まるほどの積雪なので目線も高く、樹林越しに東大顛、家形山、中吾妻山も視界に入る。ただ3月下旬とあって名物の樹氷は名残のみで、厳冬期の壮観な光景は想像するしかない。山頂は風の通り道で早々に辞し西吾妻小屋で昼食。積雪で2階から出入りするが小屋内は山スキーや大学OBの団体20名ばかりでほぼ満員、風を避けて外で食事をする。昼食後は西大顛を登り返し、あとは下るだけでスノーシューの本領発揮。雪が深かろうが段差があろうが強引に下ってゆく。斜面によっては尻スキーも多用し「キャホー」と雄叫びを発しながら滑り降りる。当初予定より1時間近くも早い下山となり、再び裏磐梯の温泉でまったりする。

グランデコスキー場から見る磐梯山=26日午前

2日間の雪山山行を終えた帰路のバスでは会津の地酒をいただく。隣席の男性に見覚えがあり往路より気掛かりだったが何処で会ったか思い出せなかった。酒が入ると「1昨年に大雪・富良野岳へのツアーで一緒だった」ことをようやく思い出した。その男性は早くから気づいていたらしく、私が酒好きなことも覚えていたようだ。最近は記憶力の衰え甚だしく、逆に酒が入ると突然記憶が甦ってくるケースが、ことのほか多いようだ。





コースタイム

3月25日(快晴)=JR上野駅0800(バス)−1230裏磐梯・雄子沢登山口1302−1437雄国沼1500−1600雄子沢登山口(バス)−1630ホテル白雲荘

26日(薄曇)=白雲荘0800−0815グランデコ・スキー場0830(ゴンドラ)−山頂駅0932−1033西大顛1040−西吾妻小屋1100−1112西吾妻山頂1120−1142西吾妻小屋(昼食)1210−西大顛1246−1350ゴンドラ山頂駅−1420スキー場(バス)―猪苗代IC−JR上野駅