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By YoidoreYamaOyaji

Long TrailEADLINE

南アルプス縦走 2001秋

                     
2001年10月4夜〜8日

  ちょっと得した縦走

 今回の山行では、ちょっと得した気分を味わった。仙塩尾根を塩見岳から間ノ岳に向かうちょうど中間ぐらいに新蛇抜(しんじゃぬけ)山というのがあるのだが、間ノ岳方向からきた若者が、そこを登りにきたというのだ。有名でもない山にわざわざ登りにきた理由を聞くと、今年の干支である蛇がつく山の中で、この山が一番高いので登りにきたとのこと。「へー」とうなってしまった。まあ、偶然にも最高峰の蛇の山を登り(正確には通過した)、ちょっともうけた気分になったという訳だ。それにしても、馬がつく山で一番高いのはどこだろうかと気になり始めた。南アルプスにあれば楽しいのだが……。
 今回の縦走は、赤石山脈から白峰山脈をまたにかけ、長大な仙塩尾根のほぼ半分を歩く。その分岐となるのが、三峰(みぶ)岳である。ここから仙塩尾根をさらに北へ進めば終点の仙丈岳だが、我々は、ここを間ノ岳へと向かい、白峰山脈へと足を踏み入れるコースをとった。それでも、南アルプスの北部をほぼ歩き通すことになる。

 無人の駅舎のお出迎え

 五日夜、新宿駅からスーパーあずさで岡谷駅まで行き、飯田線に乗り換え伊那大島駅で下車すると、ひっそりとたたずむ無人の駅舎が出迎えてくれる。3回目ともなると、この駅舎ともすっかり顔なじみである。夏でも冬でも快適に泊まらせていただいている。
 翌朝、ジャンボタクシーが塩川小屋まで送ってくれる。尾根へのとりつきまでは比較的緩やかな登りだが、いったん取り付くと、ぐんぐんと高度を稼がせてくれる。さすが、日本一高い峠といわれる三伏峠なのだ。三伏峠小屋には我々のほかは、6人パーティーしかおらず、ゆったりと開放小屋に泊まることができた。ただ、水場がひどく遠く、往復40分ほどかかった。

 孤高の山 塩見岳

 翌朝は3時起床。きょうは早くも今山行のハイライトだ。テントの撤収がない分、早めにスタートできた。ヘッドランプをたよりに塩見岳をめざす。山は見えているのになかなか登り口につかない。ところが、いよいよ塩見岳を眼前にすると、垂直の壁のように見えるのには驚いた。しかも、岩肌が黒くごつごつしていて、ぐっと気圧されるぐらいの迫力である。一昨年の正月は、岩に雪と氷がついたミックス状態だったが、ここをアイゼンをつけて下ったのだが…。
 塩見岳は南アルプスのほぼ中央に位地し、孤高を誇っている。遠くからみてもその山容は、すぐ見て取れる山である。あんがい知られていないが、ピークを二つ持ち、東峰が3052bで三角点がある西峰の3047bよりわずかに高い。
 がらがらした道を注意しながら一歩一歩確実に登る。秋の深く澄んだ空の中にぐんぐん突っ込み、みずからも青く染まっていくよだ。西峰を通過し、高い方の東峰で休憩し尾根へと向かった。ここからがまた、長いのである。

 ゆらゆらトイレ

 合計十一時間の行程を終え、熊の平小屋に着いた。眼前に農鳥岳が大きな山容を見せている。裾は赤や黄色に彩られ、空の深い青によく映える。白峰三山縦走のときに見た農鳥岳はやせて見えたが、ここからは、やけにどっしりと立派で意外だった。
 ここの小屋はログハウス造りで、周囲の樹林とよく馴染んでいる。小屋の前にテラスがあり、このときはすでに営業が終了していたのでテーブルは片付けられていたが、夏ならばビールを片手に正面の農鳥岳を心行くまで堪能することができるだろう。二階部分が開放されていたのだが、着いたときには気がつかずにテントを張ってしまい、後からのパーティーが二階に入るのを見て慌ててテントをしまった。
 小屋に入り、Kobaシェフのこだわり豚キムチ(辛さが普通と激辛の二種)に舌鼓を打ち、残り少なくなった酒を酌み交わす。この小屋は、湧水がとても豊富で快適だったのだが、ただトイレにはへきえきした。ゆかは抜けそうで、トイレ全体がぐらぐら揺れるのである。用を足していてもまったく落ち着けず、出てからもしばらく体が揺れているようであった。

 ラストピーク

 7日の朝は、4時起床。北岳肩ノ小屋をめざす。最初に触れた新蛇抜山を通過し間ノ岳へ。ここからは、わずか十日前に通過した白峰三山縦走路の逆コースをたどる。間ノ岳の方から望む北岳の山容は、とても均整がとれていて魅力的である。北岳山荘では、ゆっくり休憩をとった。
 今山行のラストピークとなる北岳山頂をじっくり踏みしめてから、肩ノ小屋へと下る。底をついた酒類をどっさり買い込み、最後の夜を楽しんだ。みんな長かった縦走をやり遂げた充実感に興奮が抑えられないようすだ。これが縦走の醍醐味であろう。

 最終日は、下るのみ。台風が近づいてるらしい。小太郎尾根の分岐までは風は強かったが、そこからは快適な下りを楽しんだ。広河原におりて、タクシーで芦安温泉までともくろんでいたが、空車は一台しかないという。しかし、臨時バスが出ると分り、さっそく乗り込む。ぎゅうぎゅう詰だったが、いつもの南アルプス温泉までじっとがまんし、温泉で4日間の汗をながした。

 

Traces

バナースペース