主婦登山家の成長記録 「8000メートルの6座へ 53歳からの高所遠足」
50歳から登山を始めた練馬区在住の主婦登山家、河野千鶴子さん(2013年5月、ダウラギリで遭難死)が書き残した、エベレストをはじめとする8000㍍峰の登頂記録を中心に登山に目覚めたいきさつなどをまとめています。
河野さんは「練馬山の会」に入会したことで、「山を探検する面白さを知って、山が私の人生そのもの」になります。56歳で初めての8000㍍峰チョーオユー(8201㍍)に登頂し、「ヒマラヤ登山の夢が次々と膨らんでいった」のです。そして8000㍍峰5座の登頂を成功させ、7大陸最高峰を制覇し、セブンサミッターにもなりました。
同書は苦しい登山活動の最中に、疲労や恐怖に何を思って乗り越えていったのか、河野さんの心のうちが描かれています。また他国の登山隊員やシェルパとの心の交流なども書かれています。
「女に学問はいらぬ」という男尊女卑の風土が残る鹿児島県の農家に生まれ、育った河野さん。「男尊女卑の世界から逃げ出すことを模索した。私の生きる過程の原点がここにあった」と第7章「鹿児島の火」につづっています。河野さんを激しく山に向かわせたのも、その原点があったことがうかがえます。
河野さんは2012年春に出版社に原稿を持ち込み、出版の準備を始めました。目的はライフワークであるネパールの子どもたち支援の一環で、ヒマラヤに学校をつくる資金にすることでした。数章分を書き上げ、残りは6座目を目指したダウラギリ(8167㍍、ネパール)登頂後に仕上げる予定でした。しかし13年5月、この山で遭難、帰らぬ人となりました。出版社が家族や関係者の協力を得て今年4月、出版にこぎつけました。
「8000メートルの6座へ 53歳からの高所遠足」 河野千鶴子著 桐書房、1500円(税別)